化学・プロセス研究部門
部門概要
化学プロセスとバイオプロセスの融合による新しいバイオプロセスの確立
物質生産を最適化する化学プロセス及びバイオプロセスに取り組んでいます。
具体的には、化学プロセスにおいてはバイオマスの熱・化学変換による高付加価値成分の選択的成分変換を目指します。
バイオプロセスにおいては、微生物の発酵に必要とされる化学工学的要素技術である混合特性や物質移動の解析を、実験と理論の両面から推進します。
また、発酵産物の精製に必要とされる膜分離技術に関しても検討を行います。そして、最終的にはこれらの要素技術を統合化し、シームレスなバイオリファイナリープロセス構築を目指します。
研究グループ
バイオマス前処理・成分分離研究グループ
セルロース系バイオマスは、複雑で強固な構造を有しているため、微生物発酵の原料とするには、物理的・化学的に前処理した後に、少量の酵素で液化する必要があります。本グループでは水熱処理法、アルカリ処理法、イオン液体処理等の各種前処理法を開発してきました。これらの実績をもとに、バイオマスの種類に依存した最適な前処理法を検討します。バイオマスの構造解析も進めます。
メンバー
荻野千秋 教授、西野孝 教授、谷屋啓太 助教
化学プロセス研究グループ
バイオマスの有効利用には生物学的変換の外に、熱化学的な変換が考えられております。特にバイオマス中のリグニン成分の有効利用には、生物変換に限定しない広い範囲の技術の探索が求められます。本グループでは、バイオマス前処理チームと連携して、バイオマスの特性を評価しながら、その成分分離や、リグニン成分の有効利用に向けた熱的変換を目指します。特に水素還元などの技術をベースにバイオオイルの効率的生産に関する研究を推進します。更には、触媒による糖類の化学変換による新しい価値創造も目指します。
メンバー
林昌彦 教授、森敦紀 教授、西山覚 教授、谷屋啓太 助教
バイオプロセス研究グループ
バイオマス前処理物から有用物質をバイオ生産する際のプロセスの検討、スケールアップの検討を行います。バイオマス前処理物にはリグニンや発酵阻害物が含まれ、セルロース画分が固体化していることがあります。攪拌、発酵制御を含め、実用化に適したバイオリアクターの開発に取り組みます。 一方で、油脂からの酵素法による燃料生産に関しても、実バイオマスを念頭に置いた効率的バイオプロセスの開発を進めていきます。
メンバー
大村直人 教授、勝田知尚 准教授、荻野千秋 教授
膜分離研究グループ
最終製品を得るためには、バイオリアクターで生産された有用物質を低コストかつシンプルなプロセスで分離精製を行う必要があります。
本グループでは神戸大学独自の「膜分離」技術を用い、微生物と培養液の分離および目的物質の培養液から分離精製における革新的な技術を提供します。本グループが有する多くの知見をもとに、バイオプロダクションの有効な膜分離精製技術の開発が可能です。目的可能物の分離機能や透過特性を有する膜をテーラーメイドに作製するバイオプロセスに資する「統合的膜工学」の確立を目指します。
メンバー
中川敬三 准教授、神尾英治 准教授、荻野千秋 教授